2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

赤ちゃんと脳科学

あくまでも私見ですが、赤ちゃんを見ていて思うのは、人間(とりわけ子ども)は幸福感を増長させる機能よりも、むしろストレスを防御しようとする機能のほうが、より強く効率的に働くしくみを備えているのではないでしょうか。 たとえば、未熟児に採血注射を…

赤ちゃんと脳科学

一九六三(昭和三八)年にヒットした曲に、『こんにちは赤ちゃん』(作詞 永六輔、作曲・編曲中村八大)があります。この曲の「初めて出会ってこれから親子になるのですよ」という内容の歌詞には、日本人が忘れかけている大切な意味があると私は考えています…

むずかしい愛(「ある読者の冒険」より)

避暑の女性はたいそう興味を示して彼の話に聞き入っていたが、時折、女性にありがちな、きまって的はずれな質問をした。 よく「質問のポイントがずれすぎ」と言われ「?」とさらに混乱してしまうのだが、それが女性としてありがちなことなのならば上等じゃな…

むずかしい愛(「ある海水浴客の冒険」より)

そのときイゾッタ夫人は女性というものがどれほど孤独な存在であるか悟った。同性のあいだで連帯感が自発的な善意のあらわれとして生じることが、(たぶん連れの男性との緊密な同盟によって分断されるせいなのだろう)どれほど稀なことか。助けを求められる…

林芙美子の思い出/林 福江

叔母とは最初、私が小学校3年から6年までの間、一緒に暮らしました。そうですね、覚えているのは、遠足の前の日、円タクを呼んで伊勢丹デパートにお菓子を買いに連れてってくれたことでしょうか。ウィスキー・ボンボンやジェリー・ビーンズとか3~4種類買っ…

林芙美子記念館にあった来訪者用ノートの書き込み

7/8(日) 北新宿 T.M. アニメ版「時をかける少女」のヒロインの家のモデルに なっていると聞き、やって来ました。 作品中に出てくる絵画、おそらく短い生涯で描こうにも できなかった作品だったのではと思いました。 戦時下、昔の世界が終わろうとした最中…

蛇を踏む

「よくわからないけどね、しょわなくていいものをわざわざしょうことはないでしょ」 コスガさんはそう言うが、どんなものをしょってどんなものをしょわなくていいのか、しょってみるまでは分らないような気がした。しかしコスガさんには言わなかった。 その…

白い人

私が見た「狩り込み(ラフル)」はもっとも熟慮されていたのだ。無実の市民たちは、狩り込みの日に、偶然、外出したため、偶然、その路を、その時刻に通り過ぎたため、死の犠牲者とならねばならない。偶然が彼らに死をもたらすという事実は、なににもまして…

啄木歌集

かの時に言ひそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど この日の記録として。 啄木歌集 (1967年) (角川文庫) 作者: 石川啄木 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1967 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る

花の男 シーボルト

シーボルトは、日本の植物についての理解を深め、また日本人と接触する中で、日本では植物学と園芸が進んだ状況であることを知った。シーボルトは江戸参府に加わる以前からそのことを知っていたが、参府ではしばしばそれを目の当たりにすることができた。彼…

花の男 シーボルト

二〇〇一年に日本のレコード会社から、私たちのシーボルト、フィリップが残した「日本のメロディー」という七曲のピアノ曲が前田健治氏の演奏によって公表された。音楽を愛し、当時の上級階級の人のたしなみにふさわしいピアノ演奏を楽しんだシーボルトでは…

箱根山

「あたし? そうね、この間、映画女優の話があったんだけど…」 彼女はO撮影所のK監督が、滞在中に、父親に洩らした言葉を、やや得意になって、乙夫に語った。 すると、彼は、ひどく厳粛な顔つきになって、 「いけませんよ、お嬢さん。映画女優なんて……」 「…

自然の中の光と色

虹の色というと、七色というふうに私たちは教えられている。そうしてこの七色は、太陽光の反射や屈折でできるのだから、太陽光のスペクトル(カラー?)と同じはずだと、しばしば語られる。虹が、空気中に浮かんだ微小な水滴による太陽光の屈折からつくりださ…