2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

トリスタンとイズー物語

婦女の怒りこそ怖るべきもの、人は心してこれに備えねばならぬ! この世のものならず愛していたひとに、いちど心がかわるならば、世にもおそろしい復讐を加えるのも女というもの! 女心は恋しやすく、憎悪の念もまたわきやすい。しかも怒りは一度くれば愛の…

トリスタンとイズー物語

「和子よ、わたしは長い間そなたに逢う日を待ちわびておりました。そしてとうとうこのような、これまでどんな女子でも抱いたことのないような、立派な子供をえました。思えばわたしは悲しみのうちに産ぶ屋にはいり、そちのためには初めてのこのお祝いもまた…

リーヌスくんのお料理教室

アフリカの人はなぜたくさん大便をするのだろう 「いいこと教えてあげようか」と、アートルが雑誌の切り抜きを持ってきた。 「アフリカの人は、西洋諸国の人と比べると、1日1人当たり5倍ものうんちをするんだって」「西洋諸国とは、ヨーロッパやアメリカ…

大山倍達、世界制覇の道

…そこで私は、局員達に、かねてから考えていた私の理屈をこう話す。 「生活はリズムだという。ケンカ(格闘)もリズムだというのが私の考えだ。たとえばウェイト・リフティング、ボディビル、相撲、柔道で鍛えたものは、決してケンカに強くはない。これは実…

大山倍達、世界制覇の道

笑わせたのが私の作戦というのは、こうである。人間、なぐられる覚悟をして丹田に力を入れていると、かなりの力で打たれてもこらえることが出来る。ところが力を抜いている場合だと、たとえそれが子供の拳であろうと、思わないショックを受けることがある。…

大山倍達、世界制覇の道

アメリカに行く度に寂しい思いをするのは、彼らが豊かな社会、生活を維持してはいても、その心は常に貧しく飢えている点だ。根強いチップ制度などもその一例である。一見、合理性のあらわれとも受け取れようが、無償の行為にこそ意味ありとする人間性の王道…

大山倍達、世界制覇の道

孤独地獄の末期的症状であろうか、妖しい妄想が日夜責めさいなんだ。遂に私は思い切った荒療法を自分に与えた。 片方の眉を剃り落とすという方法である。人間の顔は妙なもので、両方の眉を一度に剃り落としてしまえば、とくにおかしくもないのだが、片一方だ…

「ばらいろの雲」ジョルジュ・サンド作 杉 捷夫訳

「ええ、ええ、」と、思わずカトリーヌはさけびました。「おぼていますとも、わたしはおまえをエプロンの中へ入れてあげたよ! おまえはわたしの小さなお友だち、ばらいろの雲です。今その文句が私にはわかります。かわいい小さな雲さん、おまえは少し気ちが…

黒ん坊

父親の顔がこの時、雪のまぶたに浮び、萩乃の顔もそれに重なった。もし父親が生きていたならばこの瞬間、何と言うであろう。 (殿のお気持に添え) そう言うだろうか、そう言う筈はないと思った。たとえそう言われたとしても、あの家康の手に抱かれるのは彼…

プラハ国立美術館展 ルーベンスとブリューゲルの時代

「5 花と静物 Flowers and still life」 …華やかな花の主題は豊かな食物や異国の珍品を描いた静物画と同様、富を誇示する調度品として好まれただけでなく、やがて散りゆく花の美しさにより人生のはかなさを暗示する「ヴァニスタ」のシンボルともなった。… *…