2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

世界の食文化(18 )ドイツ

穀物はパンにして食べるだけではない。粉を麺に加工して、つまり広い意味でのパスタにして食べることも多い。パスタはイタリア料理の専売特許ではなく、ドイツ料理の中にも定着している。ただし地域差が大きく、南ドイツでは大いに食されるが北ドイツではあ…

雪の中の三人男

夕食は無事にすんだ。ハーゲルドンは牛肉入りのうどんを出された。隣のテーブルで前菜と、山鶉の蒸焼を食べていた客は、まるで牛肉入りのうどんが世にも稀な珍味ででもあるかのように、ハーゲルドンのスープ碗をじろじろ眺めた。 つまり「牛肉入りうどん」と…

雪の中の三人男

クンケル夫人の琥珀織の服がキュッキュッと鳴った。彼女は前線を検閲した。皿の位置を一つ直し、フォークを一つひねった。 「きのうは牛肉入りのうどんだったわ」イゾルデが憂鬱そうに言った。「今日はウィンナー・ソーセージと白陰元。百万長者ともあろうお…

お産の知恵

ニューイングランド地方では、アンナ・ハッチンソンという悪名高い助産婦の存在が知られています。彼女は1634年に、夫とボストンに来て、以来、ニューイングランドを転々とし、法律や信仰を無視して助産婦活動を行い、1644年にはロードアイランドに移り、さ…

お産の知恵

しかし、ゼンメルワイスがベニスで休暇を過ごし、ウィーンに帰ってきたとき、コレストスカが急死してしまっていたのです。コレストカは、病理解剖のとき医学生が彼の腕に、メスでわずかな傷をつけたのが原因で、悪寒と発熱の末に亡くなったのでした。 コレス…

お産の知恵

玄悦は1766年(明和3年)に産科の専門書『産論』全4巻を著していますが、このとき彼は六七歳になっていました。『産論』の中で玄悦は、妊娠の日数は280日で、前後1、2週のずれがあっても正常であるとしています。悪阻(つわり)は、45日から50日続くものとし…

お産の知恵

稲生正治(1607~78年)は、大阪の人で、彼の著した『螽斯草』は、「胎教」、「保養」、「順産」「産後治療」、「祈祷」などの項にわけて書かれています。 胎教のだいじなことは、古くから説かれていますが、この本には、「妊娠中は仰向けに寝るときは枕を高…

たのしいムーミン一家

「よろしい。じゃあ、きみたちのパーティーをつづけたまえ。わしはきみたちのために、ちょっとしたまほうをつかって、じぶんをなぐさめることにしよう。そうだ、きみたちのひとりひとりに、一つずつまほうをかけてあげよう。さあ、みなさん、なにかのぞみが…

植物学とオランダ

アジサイといえばシーボルト、お滝さんと三題話のように、誰でもがシーボルトとの関連を知っていよう。シーボルトが採集した標本や、川原慶賀が描いたアジサイの仲間の絵などに添えられた名称からは、少なくともシーボルトが来日した頃にアジサイと呼ばれて…

母乳

母性愛は長いあいだ本能であると考えられてきました。自己保存本能や種族保存本能と同じように、すべての女性は生まれつきそういう本能をもっていると考えられてきたのですが、それはすべての女性が生得的にもっている欲求であるとは認めがたいとおもわれま…