2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鳥のように獣のように「紀州弁」

一人の小説家に、この風土とは、何なのだろうか、と思う。すぐ喧嘩腰に物を言う。人が、右と言えば、「左」と条件反射の如く反対意見が口をついて出る。キメ言葉を吐きたくて、うずうずする。十九歳の頃から、小説を書きはじめ、同人誌「文藝首都」に原稿を…

オルコット『花物語「マウンテン・ローレルとメイドン・ヘア」』

「まあ、ある詩の句を、もぐもぐ言ってたのよ。私は、働いている時、よくそうして、自分を助けさせます。けど、大ばかに聞こえるにちがいありません」とベッキーは、なにか大きなあやまちをしたかのように、赤くなった。 「私も、してよ。目をさまして横にな…

阿修羅ガール

私も可哀想過ぎるの一歩手前だ。一歩手前だけど、ほとんど可哀相過ぎるの域だ。私は自分を憐れんじゃう。でもどんなに憐れんでも、それが全部自分でまいた種だから救いようがない。憐れむしかないけど、憐れまれたって救われない。それに誰も、別に私なんて…

パンの百科

東欧では婚礼に10センチほどのパンに塩をそえて贈るならわしがある。放牧の牛を集めるには一定の場所に塩をおくことも伝統的である。犬の飼育にうちこんでいる人は、つがう気のない犬に塩気の多いたべものをやって精子に勢いをつける。塩を運ぶ船にはねず…

オルコット作『花物語「すいれん」』

「どの花でも開いて、心を見せますよ。うまく太陽が、その上に輝けば」 「人間の花も、そうしたい」と、ミスター・フレッドがつぶやいた。そして自分の言ったことに、警告するように、急いで言い足した。「ぼくは、あの大きなすいれんを取って、君のために咲…