トリスタンとイズー物語

「和子よ、わたしは長い間そなたに逢う日を待ちわびておりました。そしてとうとうこのような、これまでどんな女子でも抱いたことのないような、立派な子供をえました。思えばわたしは悲しみのうちに産ぶ屋にはいり、そちのためには初めてのこのお祝いもまた悲しく、それにまたそちゆえに、死ぬほどの悲しみを味わいました。このように、そちは悲しみにつつまれてこの世に生れてきたのだから、そちの名はトリスタン(悲しみの子)とよばれるがよい。」

 こう言いおわると彼女はその子にくちづけて、くちづけをすませるとそのまま死んでいった。

こんな名前の付け方って…。しかもある意味、ネグレクト。


トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)

トリスタン・イズー物語 (岩波文庫)