大山倍達、世界制覇の道

 笑わせたのが私の作戦というのは、こうである。人間、なぐられる覚悟をして丹田に力を入れていると、かなりの力で打たれてもこらえることが出来る。ところが力を抜いている場合だと、たとえそれが子供の拳であろうと、思わないショックを受けることがある。空手の訓練でしばしば気合いを入れる理由の一つには、力をためていることで不測の事故から身を守る方法でもあるのだ。

 たとえば基本練習を開始する直前のこの「力をためこむ瞬間」が常に緊張感に欠ける私はどうしても苦手なのだが、きっちりとした呼吸さえろくに出来ないという情けなさなのだが、だからこそあらためて反省。また道場に行けるようになった際は、いついかなるときでも「敵に襲われるかもしれない」という心持ちをもっと強く持とう。維持しよう。しなければ。と思った。


大山倍達、世界制覇の道 (角川文庫)

大山倍達、世界制覇の道 (角川文庫)