大山倍達、世界制覇の道

 アメリカに行く度に寂しい思いをするのは、彼らが豊かな社会、生活を維持してはいても、その心は常に貧しく飢えている点だ。根強いチップ制度などもその一例である。一見、合理性のあらわれとも受け取れようが、無償の行為にこそ意味ありとする人間性の王道から見て、正しいシステムかどうか。少なくともこの制度は人への奉仕を金額に換算するという過ちを作ってしまったのだ。

 いや、あれは奉仕ではなく仕事だから。仕事としたうえでの評価システムみたいなものだから。と頭では考えつつも、大山節でそう説かれると「なるほど、その通りだ」とふんふん納得してしまいそうになるから不思議なものだ。


大山倍達、世界制覇の道 (角川文庫)

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