リーヌスくんのお料理教室

アフリカの人はなぜたくさん大便をするのだろう


「いいこと教えてあげようか」と、アートルが雑誌の切り抜きを持ってきた。

「アフリカの人は、西洋諸国の人と比べると、1日1人当たり5倍ものうんちをするんだって」「西洋諸国とは、ヨーロッパやアメリカ合衆国のことよ」と、スペアおばさん。

「なぜ、あの人たちがそんなにうんちをするのだと思う?」アートルが、得意そうに続ける。「それはね、たくさんのせんい質を食べるからなんだ。それからね、ぼくたちは、食べやすい食べ物のほうが上等だとか、おなかの中でとけやすい食べ物のほうが、体にいいって考えるけど、これはまちがいなんだ」

「でも、なぜせんい質がいいのかな」

「それがここに出てるよ。せんい質は胃と腸に必要な運動をさせるのだって。それを食べないと、ぼくたち、病気になってしまうんだって」

「そうね。せんい質の少ない食事をするようになってから、いろいろな新しい病気が出るようになったわよね。せんい質をたくさん食べている国にはないような病気が出てきたわね」

「でもアフリカの人って、ぼくたちとちがう人たちだからじゃないの」と、ぼくが言うと、アートルは首をふった。

「残念でした。アフリカの人がね、引っこしてきて、西洋風の食事をしていると、数年でやっぱり同じような病気になるんだって。ちゃんとここに出ているよ」

アフリカ出身の夫を持つ友人と食事をしていた際、平均寿命に関する話になった。彼女は先日発表されたニュースをとりあげ「女性は86歳だって。すごいよね。でもダンナの国の平均寿命は46歳なの」と心配顔で言っていた。「それはそのまま国で暮らしていたらということだから、日本で生活している彼にはあてはまらないんじゃ?」と私が返したことから「そもそも国別平均寿命の統計に在外居住者は含まれているのかどうか」という話題にも発展したのだが、そんなことはともあれ帰宅してからなんとなく手にとりパラパラ見返したこの絵本にうれしくなった。にっこり。ちょっと教条的すぎるきらいはあるが、それでもこのシリーズは素敵だ。


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