胎児の環境としての母体 幼い生命のために

 この関節は生後二四時間くらいで急速に丈夫になってきます。三~四日で「かなりしっかりするものです。関節がしっかりするということは、何も足が真直ぐ伸びてくるというのではありません。脚が開いたままの形でしっかりしてくるのです。そのままだったら "がに股" になってしまってたいへんだ、ということではありません。そう思う方が危険なのです。

 自然の姿が、開いたものであること。その姿は、ちょうど蛙を仰向けにした時の下肢の形に似ているのですが、ヒトの股関節は、この自然の形を保つことではじめて丈夫に、しっかりしたものに育っていくのです。

このカタチで始まって、このカタチとして生まれてくるのか。と思うと実に深い。かも。


胎児の環境としての母体―幼い生命のために (1976年) (岩波新書)

胎児の環境としての母体―幼い生命のために (1976年) (岩波新書)