波うつ土地
わたしと男は、「好み」がちがうというよりも、「なにか」がちがうのである。わたしが男との、その「なにか」のちがいを不愉快に思うよりは、おそらく男の方が不愉快さの度合いは大きいし、またさらに大きくなっていくだろうと、わたしは思っているのである。わたしも別に、毎度キテレツな建物でなければいやだと思っているわけではなく、汽笛を特別におもしろがっているわけでもないが、同じ舞台装置では喋ることがないから好奇心のおもむくままに、豪華客船に乗りこもうと提案したのであった。いや、そうではない、やはり、男の「なにか」をからかってみたかったのだ。
その気持はとてもよくわかるが、わかるだけに怖過ぎる…。