新版 放浪記

「どんなひとの詩を読みましたか?」
「はい、ハイネを読みました。ホイットマンも読みました」
 高級な詩を読むと云う事を、云っておかないと悪いような気がした。だけど、本当はハイネもホイットマンも私のこころからは千万里も遠いひとだ。
「プウシュキンは好きです」
 私はいそいで本当の事を云った。

ハイネはともかくホイットマンはけっこう親しみやすい気がするけどなぁ。でもそう思えるのは私が当時の彼女のような「赤貧状態の青春」を経験したことがないからかもしれない。なんにせよ私も「プウシュキンは好き」だ。にっこり。
放浪記 (新潮文庫)

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