新版 放浪記

 この料理人は、もう四十位だろうけれど、私と同じ位の背の高さなのでとてもおかしい。私を自分の部屋に案内してくれた。カーテンを引くと押入のような寝室がある。その料理人は、カーネエションミルクをポンポン開けて私に色んなお菓子をこしらえてくれた。

カーネェションミルクって?と、その愛らしい響きにドキドキしつつ調べてみたら、どうやらネッスル社が出しているエバミルクの一種のようだった。主に米国のブラック&カリビアンのひとびとのあいだでポピュラーなものらしく、日本でも沖縄では流通しているらしい。レトロなパッケージがなんとも素敵。…それにしても「色んなお菓子」についての詳細をもっと知りたいものだ。


放浪記 (新潮文庫)

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