愛の妖精(プチット・ファデット)
…ランドリーは、牛を牧場へ連れて行ったり、また連れて帰ったりするので、しょっちゅう一人歩きをするのには慣れていたから、この晩に限って別にひどくびくついていたわけではなかった。しかしそれでも、足ばやに歩きながら、暗い晩には必ず誰でもするように、大声で歌をうたっていた。誰でも知っていることだが、人間の歌う声は、悪い獣や悪い人間をまごつかせて追い払うという効能がある。
そうなんだよ、この効能にひとはもっと着目すべきなんだよ。
- 作者: ジョルジュサンド,George Sand,宮崎嶺雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1959/03/05
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 113回
- この商品を含むブログ (36件) を見る