先天異常の医学―遺伝病・胎児異常の理解のために

 なぜ、日本のすべての新聞、雑誌、放送のジャーナリストが、一九六一年十一月二十七日の西ドイツでの回収決定、そしてその後の何回も繰り返された西ドイツ政府の薬の回収についての呼びかけ、英国やスウェーデンなどの薬の回収のニュース、翌六二年三月のアメリカの「タイム」誌の記事、五月の大日本製薬の出荷停止の事実、同月の厚生省通達などに対して、六二年八月二十六日の読売の記事まで、口を閉ざしていたのか謎である。

 その間に、患者の数は急増していたのである。仮に西ドイツなどと同じ時期にわが国で薬の販売を中止していたら、一九六二年以後に生れた二〇〇名以上のサリドマイド児の大部分は、異常なく生れていたと推定される。それは、わが国の患者数の三分の二を占める。

 この間の真実は、勇気あるジャーナリストがそのうち解明してくれると信じている。

 解明されているのならぜひとも読みたい。