旅行者の朝食

 著者ポフリョーブキンのハルヴァに注ぐ情熱溢れる文章を目で追いながら、わたしの中では最高だったイーラのハルヴァにもまさる美味しいハルヴァがこの世にあることを知った。

 そして、ヌガーとトルコ蜜飴とハルヴァと求肥落雁ポルボロンは血縁関係にあることをも確信した。これを思う時、古代から中世にかけて、ユーラシアの大地がさまざまな遊牧民や商人たちによって繋がっていた情景が浮かぶ。プラハの学校で、多民族の学友たちがハルヴァに舌鼓を打った光景は、その延長線上のひとつのエピソードに過ぎなかったのだ。

 この著者は最後の〆の一文がやたらよいなぁ、とあらためて感動。てゆーか私もハルヴァを食べてみたい。ヅーフの残した言葉とスワヒリのことわざの謎をいつかこんなふうに突き止めたい。


旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)