パンダモニアム 国際政治のなかのエスニシティ

 われわれの文化において最も強い願望のひとつは、人として社会的な地位を獲得しようとする志向であり、心理的な意味においては、個人のエゴや価値の尊重を認めてもらおうとすることである。もしある人物が、他と区別できるような存在でなければ、その人物はなんら愛の対象とはなりえない。その意味で、地位を求める必要性には生物学的な根拠がある。もしある男性が、見分けのつかない集団の一部であるならば、いかなる女性もその男性を他と区別し、特別の愛情の対象として彼を選んだりはしないであろう。われわれの文化の最も強力な推進力のひとつが模倣(傍点アリ)であり、最高の地位にある人たちの模倣である。これがファッションの源泉であり、他の社会行動様式の源泉である。それゆえに、もし、威信体系において、一番下の段階に位置し、他の人たちに比べあまり尊重されていない場合、二つの道が開かれている。ひとつは、他の人たちと団結して、威信の基礎を崩壊させることである。もうひとつの道は、自分の地位を向上させてくれるような人物または目的を見つけることである。最初の道は、長期的利益をもたらす道ではあるが、その成功の可能性はあまりない。後者の道は、短期的な利益をもたらし、しかも成功の可能性が高い。

 人間のフラストレーションや感情転移についてわれわれが知る限りにおいて、愛情よりも攻撃のほうが選択される可能性が高い。

だからなのか!ちなみにこの箇所はモイニハンによるダニエル・ベルの引用部分。