2020-01-10から1日間の記事一覧

レーナ

ある日曜日、わたしはレーナにたずねたことがあった。「大好きだった人が死んだあとって、どんな気持ちがするものなの?」「ある朝、はじめて泣かないで起きることができたなって、そう思うでしょ。でも、次の朝はまた泣いてる。その次の日は、もしかしたら…

レーナ

レーナはポケットの奥にぎゅっと手をつっこんで、わたしを見て、それからまた地面に目を落とした。「だって、お母さんが出ていくの、見てたんでしょ、それでも意地悪しつづける人なんていないもん」「母さんが出てったなんて、言ってないわ。あのねえーー」…

英国の郷土菓子 お茶を楽しむ「ブリティッシュプディング」のレシピブック

■子供の上靴は黒色私の子どもが小学校に転入したとき、日本の白い上靴をもたせたところ、英国の上靴はまっ黒!? と知りました。靴屋さんへ行くとなるほど黒い上靴です。色が違うだけですが、それだけで自分の住んでいたところではない、違う国に来たんだと…

百合若大臣

■伝説になった波乱万丈の英雄物語 「百合若大臣」は日本の代表的な英雄伝説として知られています。といっても多くの伝説みたいにその地方で語り伝えられ、あるいは文献・記録などによって残されたものでなく、人気の語り物として演じられていたのが、あたか…

百合若大臣

百合若のことをおもうと、北の方は、もう じっとしておれなかった。 侍女たちをよび、百合若に へんじをおくることにした。侍女たちは、われもわれもと 手紙をかき、そのぶあついたばとともに、紫石のすずりとふで、それに おにぎりもそえた。 「さあ、一刻…

百合若大臣

しばらくして、緑丸は どこからみつけてきたのか、大きな柏の葉が 二、三まいついた板をくわえて、かえってきた。 百合若は 自分の指をかみきり、その血で、柏の葉に 歌を一首かきつけ、ていねいにたたんで 板にしっかりとむすびつけた。 「一刻もはやく、こ…

江戸のガーデニングより「朝顔」

■アッと驚く変化朝顔 ところで、現在ではアサガオのイメージといえばまず百人が百人、見慣れたラッパ型の花を思い描くに違いない。ところが江戸時代は違っていた。特に十九世紀初めに流行したいわゆる「変形朝顔」はおよそアサガオのイメージとはかけはなれ…

江戸のガーデニングより「朝顔」

■アサガオの来歴 アサガオは、日本原産の植物と思っている人が多いようだが、実は、奈良時代の末頃に遣唐使が薬種の牽牛子(けにごし)として中国から持ち帰ったのが最初と伝えられている。原産地は南アジア、ネパールなど様々な説があり、日本への渡来につ…