魔法使いのチョモチョモ
こんどは、大臣に温度をはからせます。なんと100度もありました。
「100度だ。王さまが、にえちゃうぞ。」
すると、はかせは、あせをたらしながら、言うのです。
「300度までよろしい。」
へやの中は、赤いゆげから出る熱で、熱くなりました。
「300度になったら、王さまが、ひとりで出てくるはずだ。自分の力でな。」
「……もし、出てこなかったら……?」
「命はないね。」
ぷく ぷく ずく ずく
ぽく ぽく ずく ずく
あわがだんだん小さくなって、水がずくずくゆれはじめました。
「だいじょうぶかな、はかせ。」
「さっき入れた草は、地球の上に、この国だけしかはえていない、めずらしい薬草なんだ。どんな病気でもなおる、草なんだ。わざわざ、山へ行ってとてきたんだよ。それに、わたしの発明した薬を2つ……。きかないはずはない。」
はかせは、熱さにがまんできなくなって、はだかになりました。
大臣は、熱さと心配で、息ができなくなりそうでした。それで、へやを出て、機械のへやにはいりました。
さらっと書かれた「はかせは、熱さにがまんできなくなって」に爆笑。想像するとマジでおかしい。やー、このシリーズは何を読んでもシュールでたのしいなぁ。寺村輝夫の言語感覚(魔法使いの名がチョモチョモだなんてもうそれだけで嬉しくなってしまう)は秀逸だと思うし、和歌山静子のイラストも大好きだ。