夜空はいつでも最高密度の青色だ

月面の詩

私のこと嫌いでもいいよって言えなくちゃ、
やさしいひとにはなれません。
青春で奪われていく純粋のこと、
忘れちゃったから青春小説が好きなひと。
幸福が邪魔みたいに言える子が好きだ。人間を腐らせる。
土に近づけ、花から離れる。
私はきみが嫌いです。そして明日には忘れます。
立派な松が切り倒される街で、江戸時代の戦の話。
血の上に立っていますが、私の体はきっと土でできていた。
子供は残酷。
私がきみを嫌いでも、きみを殺したいとまでは思えないのは、
もう子供でないというそれだけの月。

 

最果タヒは現代の銀色夏生なのかなとふと思うことがある。もちろん私は両者とも好き。まだ子どもが幼稚園児のころママ友とおしゃべりしていたら「もう恋愛もののドラマは見られない。興味がわかない」と一人が言い「私も!」ともう一人が賛同を示して驚いた。青春ものもだめ、つまらない。ミステリーはおもしろい。話はそのように展開していったけど、私は恋愛ものも青春ものもいまだ好きだ、大好きだ。ドキドキしながら読んだり見たりできるのは、なるほどあまりに過日のできごとであるからなのかもしれない。いわゆる汚れちまったかなしみゆえの楽しみであるのかもしれない。